ふたりで選んだラグが紡ぐ、新婚生活の温もり

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新婚生活が始まって三ヶ月。私たちが最初に一緒に選んだ家具は、リビングに敷く大きなラグだった。引っ越したばかりの部屋はまだがらんとしていて、床の冷たさがそのまま伝わってくるような空間だった。夫が「まずは足元から温かくしよう」と提案してくれたのが、このラグ探しの始まりだった。

週末、ふたりで家具店を巡り歩いた。色も素材も形も、選択肢は想像以上に豊富で、どれを選べばいいのか最初は戸惑った。夫は実用性を重視して厚手のものを、私は部屋の雰囲気に合う柔らかな色合いのものをと、それぞれ違う視点で選んでいた。でも不思議と、その違いが楽しかった。意見を交わしながら、お互いの好みや価値観を改めて知る時間になった。

結局、私たちが選んだのは、アイボリーに近いベージュ色の、毛足が少し長めのラグだった。触れた瞬間、ふたりとも「これだ」と感じた。柔らかくて温かみがあって、それでいて主張しすぎない。まるで私たちの関係性を表しているようだと、帰り道で笑い合った。

ラグが部屋に届いた日、夫と一緒に敷いた。重さもあって、位置を調整するのにふたりで何度も動かした。汗をかきながらも、ああでもないこうでもないと言い合う時間が、なんだか楽しくて仕方なかった。ようやく理想の位置に収まったとき、私たちは同時にラグの上に座り込んだ。足元から伝わる柔らかな感触が、新しい生活の実感を運んでくれた。

それからというもの、このラグは私たちの生活の中心になった。朝、コーヒーを飲みながらラグの上であぐらをかいて座る夫の姿。仕事から帰ってきて、靴を脱いでラグに足を踏み入れる瞬間のほっとする感覚。休日の午後、ふたりでラグに寝転がって天井を見上げながら、これからのことを語り合う時間。何気ない日常のすべてが、このラグの上で繰り広げられていった。

特に印象的だったのは、ある雨の日曜日のことだった。外出する予定がキャンセルになり、ふたりでラグの上に座って、結婚式のアルバムを眺めていた。写真を一枚一枚めくりながら、あの日の思い出を語り合う。夫が私の肩に頭を預けて、「あのとき、君と結婚できて本当に良かった」とぽつりと言った。その言葉が、ラグの柔らかさと一緒に心に染み込んできた。

夢を語り合うのも、いつもこのラグの上だった。将来どんな家に住みたいか、子どもができたらどんな育て方をしたいか、十年後にはどんなふうに暮らしていたいか。現実的な話から、少し突飛な夢物語まで、ラグの上では何でも話せた。柔らかな感触が、私たちの心も柔らかくしてくれるのかもしれない。夫は料理人として独立する夢を、私は在宅でできる仕事を見つけて自分のペースで働く夢を語った。どちらの夢も、このラグのある家で実現したいと思った。

季節が変わり、夏が近づいてくると、夫が「ラグ、暑くないかな」と心配した。でも私たちはラグを片付けなかった。エアコンで室温を調整しながら、変わらずラグの上で過ごした。それは単なる敷物ではなく、もう私たちの生活の一部になっていたからだ。

時々、ラグの手入れを一緒にする。掃除機をかけて、たまにはブラシで毛並みを整えて。そんな作業さえも、ふたりでやると楽しい時間になる。「こっち側がちょっと毛が寝てるね」「よく座る場所だからかな」そんな会話をしながら、丁寧にケアをする。物を大切にする気持ちも、夫婦で共有できることの幸せを感じる。

新婚という言葉がいつまで使えるのか分からないけれど、このラグと過ごす時間は、いつまでも新鮮な気持ちを保たせてくれる気がする。毎日帰ってくる家に、温かく迎えてくれるラグがある。その上で、大切な人と肩を寄せ合って座れる。それだけで十分に幸せだと思える。

ラグを選んだあの日、私たちは単に敷物を買ったのではなかった。ふたりで過ごす穏やかな時間の土台を、一緒に選んだのだ。これから先、何年経っても、このラグの感触と一緒に、新婚時代の温かな記憶を思い出すのだろう。そしてその記憶が、これから築いていく長い人生の支えになってくれる。そう信じながら、今日もラグの上で、夫と静かな時間を過ごしている。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:上辻 敏之

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