窓から差し込む冬の陽射しが、部屋の中を優しく照らしていた。新しく買ったラグの上で、私たちはゆっくりとお茶を飲みながら、穏やかな時間を過ごしていた。彼と私は大学時代からの友人で、お互いの良き理解者として、これまで様々な時間を共有してきた。
ラグの柔らかな触り心地が、私たちの会話をより心地よいものにしてくれる。温かみのある生成りの色合いは、部屋全体の雰囲気を和ませ、まるで小さな秘密の隠れ家のような空間を作り出していた。
「このラグ、いい選択だったね」と彼が言う。確かに、インテリアショップで見つけた時から、この部屋にぴったりだと思っていた。カーペットほど大きくなく、でも十分な広さがあって、私たちがくつろげるちょうど良いサイズだった。
「そうなの。この質感が好きで」と答えながら、私は手のひらでラグの表面をそっとなでる。長すぎない毛足は手入れが簡単で、でも座り心地は申し分ない。週末にはここで本を読んだり、音楽を聴いたりして過ごすことが多くなった。
彼はマグカップを両手で包み込むように持ち、「最近、仕事が忙しくて」と話し始めた。私は黙って耳を傾ける。彼の言葉の端々に疲れが見え隠れするけれど、ここでゆっくり話すことで、少しずつ心が軽くなっていくのが分かった。
外では時折風が吹き、木々のざわめきが聞こえる。それがBGMとなって、私たちの会話に自然なリズムを作り出していく。マグカップから立ち上る湯気が、静かな時の流れを可視化しているようだった。
「君の部屋に来ると、なんだか落ち着くんだ」と彼が言う。確かに、このラグを中心とした空間には不思議な魅力があった。壁際に置いた観葉植物の緑が、ラグの温かみのある色調と調和して、心を癒してくれる。
私たちは時には黙り込みながら、時には笑い合いながら、穏やかな時間を共有していく。窓の外では夕暮れが近づき、部屋の中の光が少しずつ柔らかくなっていった。
「そういえば」と彼が切り出す。「大学の頃も、よくこうやって話してたよね」
思い出話に花が咲く。あの頃は図書館の片隅や、学食のテーブルで、将来の夢や不安を語り合った。今は、このラグの上で、大人になった私たちの日常を、穏やかに共有している。
時計の針はゆっくりと進み、外の景色は徐々に夕暮れの色に染まっていく。ラグの上で過ごすこの静かな時間が、私たちにとってかけがえのない癒しの時間となっていた。
「また来週も来てもいい?」と彼が尋ねる。「もちろん」と私は微笑む。このラグの上での語らいは、私たちの大切な習慣になりつつあった。忙しい日々の中で、ここでは時間がゆっくりと流れ、心が自然と解きほぐされていく。
夕暮れが深まり、部屋の明かりをつける頃。私たちは今日もまた、たくさんの言葉を交わし、時には沈黙を共有し、お互いの存在に心を癒された。このラグが見守る穏やかな時間は、きっとこれからも続いていくのだろう。そう思うと、心が温かくなった。
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