窓から斜めに光が入ってくる時間帯が、たぶん一番好きだ。
新婚だからって毎日がドラマチックなわけじゃない。むしろ地味な日常の連続で、二人でソファに座ってスマホをいじってる時間のほうが圧倒的に長い。でもラグを買ってから、なんとなく床に座る時間が増えた。ソファより低い視線になると、部屋の見え方が変わるんだよね。天井が高く感じるし、窓の外の木の枝が目に入る。そういう些細な変化が、思いのほか気分を変えてくれる。
うちのラグは毛足が長めで、触るとふわっとしてる。最初は「汚れたらどうしよう」とか「掃除大変そう」とか考えてたんだけど、実際に敷いてみたら、そんなこと気にならなくなった。土曜の昼下がり、特に予定もなくて、二人で床に寝転がってる。彼は本を読んでて、私はぼーっと天井を見てる。会話なんてほとんどない。
何も話さなくても平気な関係って、楽だなって思う。
そういえば前に友達の家に遊びに行ったとき、彼女の部屋にはラグがなかった。フローリングがむき出しで、なんとなく冷たい印象だった。「ラグって洗えないし、ダニとか気になるじゃん」って言われて、たしかにそうかもって思ったけど、でも私はやっぱりラグがある部屋のほうが落ち着く。足の裏に伝わる感触が、なんていうか、安心する…だけど。
日曜の朝、コーヒーを淹れてラグの上に座る。マグカップを両手で包むと、ほんのり温かい。窓の外から鳥の声が聞こえてくる。彼はまだ寝てて、部屋には私一人。こういう時間が、ささやかな贅沢なんだと思う。高級なレストランに行くわけでもなく、旅行するわけでもなく、ただ自分の家で、自分のペースで過ごす。それだけで満たされる感じ。
木漏れ日がラグの表面に模様を作ってる。風で葉っぱが揺れるたびに、光の形が変わる。こんなふうに光を眺めてる時間って、無駄といえば無駄なんだけど、無駄じゃない気もする。
夢の話をしたことがある。「将来どんな家に住みたい?」って聞かれて、正直あんまり具体的なイメージはなかった。広いリビングとか、おしゃれなキッチンとか、そういうのはあればいいけど、別になくてもいい。でも「こういうふうに、二人でのんびり過ごせる場所がいい」とは思った。ラグがあって、窓があって、光が入ってくる部屋。それだけでいい。
彼が起きてきて、私の隣に座る。「何してんの?」って聞かれて、「別に」って答える。彼もコーヒーを淹れに行って、また戻ってくる。二人でラグの上に座って、また何も話さない。こういう時間が、たぶん一番楽しいんだと思う。楽しいっていうか、心地いい。派手さはないけど、ずっと続けていたいと思える時間。
ラグを買う前は、「床に座るなんて」って思ってた。ソファがあるのに、なんでわざわざ床に座るのかって。でも実際に座ってみると、床のほうが自由な気がする。寝転がってもいいし、足を投げ出してもいいし、姿勢を気にしなくていい。ソファだとどうしても「座る」っていう形が決まっちゃうけど、ラグの上ならどんな体勢でもいい。
午後の光が少しずつ傾いていく。夕方が近づいてきてるのがわかる。でもまだ動きたくない。このままもう少し、ここにいたい。
ラグの上で過ごす時間は、何も生み出さない。生産的じゃないし、効率的でもない。でもそれでいいんだと思う。そういう時間があるから、他の時間も頑張れる…のかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
窓の外の木の枝が、また揺れてる。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:上辻 敏之


コメント