窓から差し込む朝焼けの光が、部屋全体をオレンジ色に染め上げていく。柔らかな光は、白いラグの上で寝そべる私たちの肌を優しく照らしている。時計の針はまだ6時を指していないけれど、二人とも目が覚めていた。
彼の呼吸が、私の髪を微かに揺らす。隣で横たわる彼は、天井を見上げながらゆっくりと目を瞬かせている。私は彼の胸に頭を預け、その鼓動に耳を傾けている。規則正しい心臓の音が、この瞬間をより特別なものにしていく。
「ねぇ」と彼が囁く。「朝日って不思議だよね」
私は小さく頷く。確かに不思議だ。毎日同じように昇る太陽なのに、この瞬間の光は昨日とも明日とも違う特別なものに感じる。
ラグの柔らかな繊維が、私たちの体を優しく包み込む。このラグは、二人で休日に買い物に出かけた時に見つけたもの。純白の色合いと、ふわふわした質感に一目惚れして即決で購入した。それ以来、このラグの上で過ごす時間が私たちの密かな楽しみになっている。
朝焼けの光が徐々に強くなり、窓辺に置いた観葉植物の影が床に長く伸びていく。植物の葉が微かな風で揺れるたびに、その影も優雅に踊る。まるで私たちのために、朝の光のショーを披露してくれているかのようだ。
彼の手が、そっと私の髪を撫でる。その仕草には、言葉では表現できないような愛情が込められている。私は目を閉じ、この触れ合いの温もりを全身で感じる。時間が止まってしまえばいいのに、と思わずにはいられない。
外からは、早起きの小鳥たちのさえずりが聞こえてくる。彼らの歌声は、まるで私たちのためだけの目覚めの音楽のよう。街がまだ眠りについている この時間、世界は私たちだけのものになる。
「コーヒー、入れようか」と彼が言う。でも、私は首を振る。「もう少しこのままで」
彼は微笑んで、私をもっと強く抱きしめる。言葉は必要ない。私たちは、お互いの存在だけで十分だということを知っている。
ラグの上で過ごすこの穏やかな朝の時間は、日常の喧騒から切り離された特別な空間。ここでは、時計の針さえもゆっくりと進むように感じる。
窓の外では、街が少しずつ目覚めていく。遠くから聞こえてくる車のエンジン音も、この瞬間には不思議と心地よく感じられる。それは、私たちの静かな空間をより際立たせる背景音のようだ。
朝焼けの光は、今や部屋全体を黄金色に染め上げている。私たちの影も、ラグの上に優しく重なり合う。この光の中で、時間はまるで蜜のようにゆっくりと流れていく。
やがて、日常が始まる。仕事や予定に追われる一日が、また私たちを待っている。でも、このラグの上で過ごした朝の時間は、きっと一日中、私たちの心の中で輝き続けるだろう。それは、誰にも奪えない、私たちだけの宝物なのだから。
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