静かな部屋で、私とラグと

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窓の外では雨が降り続いている。私は新しく購入したラグの上に座り、雨音に耳を傾けながら、この部屋で過ごす時間について考えていた。一人暮らしを始めて早くも3年が経つ。最初は自由を謳歌していた私だが、最近になって妙な寂しさを感じるようになった。

そんな私の唯一の贅沢が、このラグだ。決して安くはない買い物だったが、経済性を考えて長く使えるものを選んだ。天然素材を使用した手織りのラグは、確かに初期投資は大きかったが、適切なケアを行えば10年以上は使えると店員さんは言っていた。安価な化学繊維のラグを数年ごとに買い替えるよりも、長い目で見れば賢明な選択だと自分に言い聞かせた。

このラグの特徴は、なんといってもその肌触りにある。羊毛を主体とした素材は、夏は涼しく冬は暖かい。床に直接座っても快適で、時には本を読みながら、時にはただぼんやりと考え事をしながら、私はこのラグの上で多くの時間を過ごすようになった。パイル(毛足)の長さも絶妙で、指を通すと心地よい感触が返ってくる。

清潔さを保つのは簡単ではないが、それも私の日課となっている。週に一度の掃除機がけは欠かさない。パイルの間に潜む小さなホコリたちを丁寧に取り除く作業は、どこか心を落ち着かせてくれる。時には専用のブラシで優しくブラッシングもする。まるで大切なペットの毛並みを整えるような感覚だ。

天然素材ならではの特徴として、湿気を適度に調整してくれる機能もある。梅雨時期でも快適に過ごせるのは、このラグのおかげかもしれない。また、静電気も起こりにくく、化学繊維のラグで経験したような不快な放電も少ない。

色合いは落ち着いたアイボリーで、細かな模様が織り込まれている。光の角度によって模様の見え方が変わり、一日の中でも様々な表情を見せてくれる。朝日を受けると優しく輝き、夕暮れ時には温かみのある色調に変化する。

時々、このラグの上で眠ってしまうことがある。そんな時、目が覚めると不思議と心が落ち着いている。都会の喧騒から離れ、静かな空間で過ごす時間。それは贅沢なようで、実はとても大切な時間なのかもしれない。

製造過程での環境負荷も考慮されており、染色には環境に優しい天然染料が使用されている。これも購入を決めた理由の一つだ。値段以上の価値があると感じている。

確かに、誰かと会話を交わすわけでもない静かな部屋。でも、このラグは私に無言の安らぎを与えてくれる。時には寂しさを感じることもあるが、このラグの上で過ごす時間は、自分と向き合う大切な機会となっている。

雨はまだ降り続いている。私はラグの上で膝を抱え、窓の外を眺めている。都会の喧騒とは無縁の、静かな時間が流れている。明日からまた忙しい日々が始まる。でも、この場所に帰ってくれば、いつでも穏やかな気持ちを取り戻せる。それは、このラグが私に教えてくれた大切な気付きだった。

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