友人を呼ぶようになったのは、ラグを敷いてからだ。
それまでリビングには何もなくて、フローリングがただ広がっているだけだった。椅子もテーブルも一応あるんだけど、なんというか、そこに長居したいって気分にならなかったんだよね。冷たいし、音が響くし、なんとなく落ち着かない。でも去年の秋、ふと思い立って買ったラグを敷いた瞬間、部屋の空気が変わった。床に座れるって、こんなに自由なことだったのかって。
週末の午後、友人が三人ほど集まった時のことを思い出す。最初は「椅子いる?」なんて聞いてたんだけど、気づいたら全員がラグの上に座り込んでいて、コーヒーカップを床に置きながら喋ってた。窓から斜めに差し込む光が、ラグの毛足を明るく照らしていて、なんだかそれだけで贅沢な時間に見えた。誰かが持ってきたクッキーの袋が開けっ放しで転がってて、時々手が伸びる。そういう、ゆるい感じ。
僕が買ったのは「ノルディア」っていうブランドのやつで、別に高級品じゃないんだけど、触り心地がよくて気に入ってる。
友人のひとりが「最近、転職しようかと思ってる」って言い出したのもラグの上だった。テーブル越しに向かい合ってたら、たぶんそんな話は出てこなかったと思う。床に座ってると、なぜか距離が近くなる。物理的にも、気持ち的にも。別の友人は将来カフェを開きたいって夢を語り始めて、僕らはそれを聞きながら「いいじゃん」とか「大変そうだけど」とか、適当に相槌を打ってた。真剣なんだけど、力んでない。そういう語らいが自然に生まれる場所になってた。
ちなみに僕は昔、友人を家に呼んだ時に何も出すものがなくて、冷蔵庫の奥から賞味期限ギリギリのチーズを出して気まずい思いをしたことがある。あれ以来、ちゃんと準備するようにしてる…まあ、今でもたまに忘れるけど。
夕方になると、部屋の光が少しずつオレンジ色に変わっていく。誰も電気をつけようとしない。そのまま薄暗くなっていくのを、なんとなく受け入れてる感じ。ラグの上に寝転がって天井を見上げる友人もいて、「このまま寝ちゃいそう」なんて呟いてた。僕も同じこと思ってたから、笑ってしまった。静けさと賑やかさが同居してる、不思議な時間だった。
ラグがあるだけで、人が集まる場所になる。そんなこと、買う前は全然考えてなかった。ただ「足元が冷たいから」っていう理由で選んだだけなのに、結果的に部屋の中心になった。友人たちも「また来ていい?」って聞いてくるようになったし、僕自身も家で過ごす時間が好きになった。
別に特別なことをしてるわけじゃない。ただラグの上に座って、コーヒー飲んで、他愛もない話をしてるだけ。でもそれが、ささやかな贅沢なんだと思う。木漏れ日が差し込む午後、誰かと一緒に床に座ってるだけで、なんだか満たされる。
今もラグの上には、昨日友人が置いていったマグカップがひとつ残ってる。洗わなきゃな、とは思うんだけど。
組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:上辻 敏之


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