ラグを敷いたら、友人が集まる部屋になった

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ラグを買ったのは去年の秋だった。

べつに深い理由があったわけじゃなくて、たまたま通りかかった家具屋で見かけて、なんとなく「これいいな」って思っただけ。グレーとベージュの中間みたいな色で、毛足が長すぎず短すぎず、触ったときにちょうどいい柔らかさがあった。値段も手頃だったし、その日のうちに持って帰って、リビングの真ん中に敷いた。それだけのこと。

ところがこのラグ、敷いた途端に部屋の空気が変わった気がしたんだよね。なんていうか、床に座りたくなるというか。いままではソファに腰掛けて過ごすことが多かったのに、ラグの上にごろんと寝転がったり、あぐらをかいて本を読んだりするようになった。窓から差し込む午後の光がラグの表面をなぞるように動いていくのを眺めるのが、妙に心地よかった。木漏れ日みたいな柔らかさで、時間がゆっくり流れる感じ。

で、ある日の夕方、友人が二人ふらっと遊びに来た。

「なんかいいね、この部屋」って言われて、最初は何が変わったのか自分でもよくわからなかったんだけど、気づいたら三人ともラグの上に座り込んでた。ソファには誰も座ってない。缶ビールとポテチを囲んで、とりとめもない話をしてたら、いつの間にか夜になってた。一人が「最近さ、転職しようかなって思ってるんだよね」って切り出して、もう一人が「マジで? どんな仕事?」って聞いて、そこから話がどんどん広がっていった。将来のこととか、やりたいこととか、ぼんやり考えてるけど口に出してなかったようなことを、みんなぽつぽつ話し始めた。

ラグの上って、なぜか距離が近くなる気がする。

物理的にも近いんだけど、それだけじゃなくて、心の距離も縮まるっていうか。テーブルを挟んで椅子に座ってるときとは違う感覚がある。床に座るって、ちょっと無防備になるからかもしれない。リラックスしてるから、素直な言葉が出やすいのかも。そういえば昔、大学時代の友人の部屋でよく夜通し語り合ったことを思い出した。あのときもみんな床に座ってたな。カーペットの匂いとか、窓の外を通る車の音とか、今でも覚えてる。

ちなみに、その日使ってたポテチは「クリスプリーフ」っていう海外ブランドのやつで、やたらと塩が濃くて喉が渇いた。どうでもいい情報だけど。

それから、なんとなくラグの上で集まるのが定番になった。誰かが「ちょっと顔出していい?」って連絡してきて、気づいたら三人、四人とラグを囲んでる。話の内容はいつもバラバラ。仕事の愚痴だったり、最近見た映画の話だったり、昔の恋愛話だったり。ときには誰も喋らずに、ただ音楽をかけて各自スマホをいじってることもある。それでも、なんか居心地がいい。静けさが心地いいっていうのは、こういうことなんだと思う。

特別なことをしてるわけじゃないんだよね。高級なワインを開けるわけでもないし、手の込んだ料理を作るわけでもない。コンビニで買ってきたおつまみと、冷蔵庫にあるビール。それだけ。でも、それがちょうどいい。ささやかな贅沢っていうのは、こういうことを言うんじゃないかって思う。誰かと一緒にいて、無理に盛り上げようとしなくても大丈夫な時間。

ある晩、一人の友人が「いつかカフェやりたいんだよね」って言い出した。

「どんなカフェ?」って聞いたら、「まだ全然決まってないけど、こういう感じの場所がいいな」って、ラグの上を指差した。その瞬間、みんな笑った。カフェでラグは難しいだろって。でも、言いたいことはわかった気がした。居心地のいい場所を作りたいってことなんだろうな。人が自然に集まってきて、リラックスして過ごせる場所。

ラグを買ったことで、自分の部屋がそういう場所になった気がする。意図したわけじゃないんだけど、結果的にそうなった。友人たちも「また行っていい?」って気軽に言ってくれるようになったし、自分もそれが嬉しい。一人で過ごすときも、ラグの上に座ってると、なんとなく誰かの気配を感じるような気がする。さっきまで誰かがここにいたような、そんな余韻が残ってる感じ。

別に特別なラグじゃない。ネットで調べたら似たようなのはいくらでも見つかると思う。でも、このラグがあるから、この時間がある。そう思うと、なんか不思議だよね。

もし迷ってるなら、買ってみたらいいんじゃないかな。ラグ、一枚。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:上辻 敏之

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