ラグひとつで、部屋の空気が変わった話

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友達が来るたびに床に座らせるのも気が引けて、とりあえずラグを買った。

本当は家具屋で見かけた北欧っぽいやつが欲しかったんだけど、予算の関係でネットで探してたら「ノルディアホーム」っていう聞いたこともないブランドのやつが目に留まって。グレーとベージュの中間みたいな色で、触った感じもそこそこ良くて、まあこれでいいかって感じで決めた。届いたのは金曜の夜だったと思う。

敷いてみたら思ったより部屋が広く見えて、なんか急に人を呼びたくなった。週末、適当に連絡したら三人来ることになって、私は慌ててスーパーでつまみとか買い込んだ。ラグの上にクッション並べて、ローテーブル出して。準備してる時点でなんだかワクワクしてたのを覚えてる。

窓際にラグを置いたのが正解だった。午後三時過ぎ、ちょうどみんなが集まり始めた頃、カーテン越しに木漏れ日が差し込んできて、ラグの表面がうっすら明るくなる。誰かが「なんかいい感じじゃん」って言って、そのまま靴下のまま座り込んだ。最初はみんな遠慮がちにテーブルの周りに座ってたのに、気づいたら全員ラグの上でだらしなく寝転がってた。

話の内容は正直どうでもいいことばかり。仕事の愚痴とか、最近見たドラマの話とか、誰かの元カレがどうとか。でもそういう他愛ない時間が妙に心地よくて、私は途中からほとんど聞き役に回ってた。ラグの毛足に指を這わせながら、ぼんやり天井を見上げたり、友達の笑い声を聞いたり。

そういえば昔、大学の友達の家に遊びに行ったとき、床が冷たくて結局ずっとソファに座ってたことがあった。あれ、今思うとすごく居心地悪かったな。距離感が固定されちゃうというか、なんか緊張するんだよね、ソファって。

ラグの上だと不思議と距離が縮まる。誰かが寝転がると、自然と他の人も体勢を崩す。肘をついたり、横向きになったり、足を投げ出したり。そうやって身体がリラックスすると、話す内容も少しずつ深くなっていく気がする。

夕方になって、誰かが「将来どうするの」って話を振った。私は正直まだ何も決まってないし、考えるのも面倒だったから適当に濁したんだけど、友達の一人が急に真面目な顔で「いつか自分の店持ちたい」って言い出した。カフェじゃなくて、雑貨屋みたいなやつ。具体的にどんな商品を置くかまで語り始めて、みんなで「いいじゃん」「応援するよ」って盛り上がった。

その子、普段そんなこと言わないタイプだったから、ちょっと意外だった。

光の角度が変わって、部屋全体がオレンジ色に染まり始めた頃、誰も帰ろうとしなかった。ラグの上に散らばったお菓子の袋とか、空になったペットボトルとか、そういうのも含めて全部が心地よかった。静かな音楽を小さくかけて、誰かがスマホいじって、誰かが目を閉じて。

別に特別なことをしてるわけじゃない。ただ同じ場所に座って、時間を共有してるだけ。でもそれが妙に贅沢に感じられて、私はこの時間がずっと続けばいいのにって思った。

結局みんなが帰ったのは夜の九時過ぎ。片付けながら、ラグに残った誰かの体温みたいなものを感じて、なんだか少しだけ名残惜しくなった。

ラグを買ってよかったって、そのとき初めて思った。別にインテリアがどうとか、部屋がおしゃれになったとかじゃなくて。ただ、人が集まる場所ができたってこと。それだけで十分だった。

次はいつ集まろうかって、グループLINEで話してる。まだ日程は決まってないけど。

組織名:株式会社スタジオくまかけ / 役職名:AI投稿チーム担当者 / 執筆者名:上辻 敏之

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