暖かな室内で、ふかふかのラグの上に車座になって座る4人の姿があった。窓の外では雪が静かに降り続いている。マンションの一室とは思えないほど居心地の良い空間で、大学時代からの親友たちが集まっていた。
「こうやって集まるの、久しぶりだよね」と話し始めたのは、IT企業で働く健一だ。彼の隣では、建築設計士の美咲が頷きながら温かい紅茶を手に取る。対面には、起業したばかりの翔太と、フリーランスのライターとして活躍する琴音が座っている。
「そうだね。みんな忙しくて。でも、このラグの上に集まると、なんだか大学時代に戻ったみたい」琴音が懐かしそうに微笑む。確かに、このラグは4人で過ごした学生時代からの思い出の品だった。
「覚えてる？このラグ、みんなでバイト代を出し合って買ったんだよ」美咲が言うと、一同が笑顔になる。「当時は贅沢な買い物だって思ったけど、こうして今でも使えてるなんて」
翔太が足元のラグを優しく撫でながら続ける。「このラグの上で、どれだけ将来の話をしたことか。みんなの夢を聞いて、励まし合って」
「そうそう！美咲は絶対に自分の設計した建物を建てるって言ってたよね」健一が言うと、美咲は少し照れくさそうに頬を染めた。
「やっと叶いそうなの。来月から始まる新しいプロジェクトで、私の設計案が採用されたの」美咲の声には誇らしさが滲んでいた。「みんなの応援があったから、諦めずに頑張れたんだと思う」
「おめでとう！」三人が口を揃えて祝福の言葉を投げかける。琴音は美咲の肩を抱きながら「私たちも内覧会に呼んでね」と笑顔で言った。
「翔太は起業したばかりで大変でしょう？」健一が気遣うように尋ねる。
「うん、でも楽しいよ。自分の信じた道を進めるって、こんなに充実感があるものなんだって実感してる。それに、困ったときは健一が相談に乗ってくれるしね」
「当たり前だよ。僕たちは仲間だもの」健一の言葉に、全員が深く頷く。
琴音はスマートフォンを取り出し、画面をスクロールしながら「私も、やっと自分の本を出版することになったの」と嬉しそうに報告した。「大学時代に、このラグの上で『絶対に作家になる』って宣言したの、覚えてる？」
「もちろん！琴音の夢が叶って本当に嬉しい」美咲が両手を叩いて喜ぶ。
「みんな、それぞれの道を歩んでるんだね」健一が感慨深げに言う。「僕も来月からシリコンバレーに行くことになったんだ。新しいプロジェクトのリーダーとして」
「えー！すごい！」三人の驚きの声が部屋に響く。
「でも、また日本に戻ってくるんでしょ？」琴音が心配そうに尋ねる。
「もちろん。それに、今はオンラインがあるから。距離なんて関係ないよ」健一の言葉に、全員が安心したように微笑んだ。
「私たち、これからもずっと仲間だよね」美咲がつぶやくように言う。
「それは間違いない」翔太が力強く答える。「このラグの上での約束は、絶対に守らないとね」
窓の外では雪が優しく降り続けている。4人は温かい飲み物を手に、これからの夢や希望を語り合った。それは学生時代と変わらない、穏やかで心地よい時間だった。
「次はみんなで温泉旅行に行こうよ」琴音が提案する。「美咲の建物完成祝いと、琴音の出版祝いを兼ねて」健一が付け加えた。
「いいね！」全員が賛同の声を上げる。これからも変わらない絆を確認し合うように、4人は笑顔で見つめ合った。
このラグの上には、たくさんの思い出が刻まれている。夢を語り、時には悩みを打ち明け、互いを励まし合った場所。そして、これからも新しい物語が紡がれていくことだろう。
「また集まろうね」立ち上がる時、全員が自然とそう言った。それは約束であり、願いでもあった。
外は すっかり日が暮れていたが、部屋の中は温かな光に包まれていた。4人の心の中でも、確かな光が灯っていた。それは友情という名の、決して消えることのない光だった。
このラグの上での時間は、彼らにとって特別な宝物。これからも、このラグは彼らの物語の証人として、静かに、でも確かに存在し続けることだろう。
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