窓から差し込む柔らかな陽の光が、リビングに置かれたラグの上で静かな時を刻んでいました。和室からリビングに模様替えをしてから早いもので10年。この部屋で私たち夫婦は、数えきれないほどの思い出を作ってきました。
今日も朝からゆっくりと過ごす休日。私は台所でお茶の準備をしながら、ラグの上で新聞を読む夫の横顔を眺めています。年を重ねるごとに増えていく白髪も、深くなっていくしわも、すべてが愛おしく感じられます。
「お茶が入ったわよ」と声をかけると、夫は優しく微笑んで顔を上げました。「ありがとう。今日も美味しそうだね」。そう言って、夫は新聞を脇に置き、ラグの上に正座します。私も隣に座り、二人でゆっくりとお茶を楽しみます。
このラグは結婚35周年の記念に購入したもの。柔らかな手触りと温かみのある色合いに一目惚れして、二人で選びました。当時はまだ現役で働いていた夫も、今は悠々自適の生活を送っています。そんな夫と過ごす時間は、まるで宝物のように大切です。
「昨日、隣町の古い喫茶店に行ってきたんだ」と夫が話し始めます。「そうだったの?」私は興味深く耳を傾けます。「昔よく通った店なんだけど、今でも変わらない味で嬉しかったよ。今度は二人で行こうか」。
こうして二人でお茶を飲みながら、日々の出来事や思い出話に花を咲かせます。時には子どもたちの話題で盛り上がり、時には若かった頃の思い出を懐かしく振り返ります。会話の合間には心地よい沈黙も流れますが、それもまた大切な時間です。
ラグの上で過ごす穏やかな時間は、私たちの日課となっています。朝のコーヒータイム、午後のお茶の時間、夕暮れ時のくつろぎの時間。季節が移ろうように、一日の中でもさまざまな表情を見せる二人の時間。
窓の外では小鳥たちがさえずり、風に揺れる木々の葉が影を落としています。時折、近所を散歩する人々の楽しそうな話し声も聞こえてきます。この何気ない日常の音が、私たちの時間をより豊かなものにしてくれています。
「そういえば、来週は孫たちが遊びに来るんだったわね」と私が言うと、夫の目が優しく輝きます。「そうだね。このラグの上で一緒に絵本を読んであげようか」。孫たちが来る日を心待ちにする夫の姿に、私は温かな気持ちになります。
年を重ねるということは、新しい発見の連続でもあります。以前は気づかなかった夫の優しさや思いやり、そして何より、共に過ごす時間の尊さを、今になってより深く感じられるようになりました。
このラグの上での語らいは、私たちにとって大切な日課となっています。時には世間話に花を咲かせ、時には黙って本を読み、時にはうたた寝をする。そんなありふれた日常の中に、かけがえのない幸せが詰まっているのです。
夫は「このラグは、まるで私たちの人生を映し出しているようだね」とよく言います。確かに、このラグには私たちの思い出が染み込んでいるような気がします。コーヒーをこぼしてしまった時の染みも、今では良い思い出です。
外は少しずつ日が傾き始め、部屋の中に夕暮れの柔らかな光が差し込んできました。「そろそろ夕飯の支度を始めましょうか」と私が立ち上がると、夫も「手伝おうか」と続きます。
年を重ねた今でも、二人で台所に立つのは楽しいものです。包丁を持つ手は少し遅くなりましたが、その分じっくりと料理を楽しめるようになりました。夫は野菜を刻み、私は味付けを担当する。そんな何気ない分担も、長年の生活で自然と決まってきました。
夕食後も、このラグの上で過ごすのが私たちの習慣です。テレビを見たり、本を読んだり、時には昔のアルバムを開いて思い出に浸ったり。シンプルでありながら、充実した時間を過ごしています。
「明日も良い天気になりそうだね」と夫が言います。「そうね。午後からお散歩に行きましょうか」と私が答えると、夫は嬉しそうに頷きます。明日という日を、こうして二人で楽しみにできることが、何よりの幸せです。
年を重ねても変わらない二人の絆。それは、このラグの上で過ごす穏やかな時間によって、日々深まっているように感じます。これからも、このラグの上で、たくさんの思い出を作っていきたいと思います。
夜が更けてきて、そろそろ就寝の時間。「今日も良い一日だったね」と夫が言います。「ええ、本当に」と私も笑顔で応えます。明日もまた、このラグの上で、愛おしい時間を過ごせることを心から感謝しながら、私たちは静かに一日を締めくくるのでした。
組織名:AI投稿チーム担当者 / 役職名:上辻 敏之
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